パリに来る前、来た後いろいろ

Unit of Molecular Genetics of Development  
Department of Developmental Biology  
渡辺裕介  

 4月からパリ、パスツール研究所で働き始めて早くも半年経ちました。とても密度の濃い半年間で、仕事、私生活ともに苦労しましたし、それと共に楽しく暮らしています。お話したいことはたくさんあるのですが、これからパスツール研究所で研究者として働こうと考えている方に、事務的なことを中心にお話したいと思います。

 フランスで研究者として働くためには、まず研究者ビザを取得しなければなりませんが、そのためにパスツール研究所発行の“Protocol d’accueil”と呼ばれる受け入れ証明書を発行してもらう必要があります。この“Protocol d’accueil”を発行してもらうための書類の準備は結構大変で、破傷風やポリオの予防接種証明なども含まれていました(東京検疫所まで予防接種を受けに行きました)。しかし、パスツール研究所発行のProtocol d’accueilの威力か?ビザ取得はかなりすんなりといきました。私の場合、妻がいるのですが、同行家族はシェンゲンビザとなります。

 パリで働くにあたってまず気になるのは住む場所だと思いますが、パスツール研究所は研究所近くにStudioを持っており、最長半年間は借りられるので、最初はこのStudioに住み、その間に住む場所を決めるのが良いと思います。私もパリに来てから2ヶ月間はこのStudioで暮らしました。パリは住宅難ですし、フランス語が話せないとなかなか大変なのですが、私の場合、パリの日本語情報誌で見つけたり、同僚の助けがあったりと、運良く住むところを見つけられました(2回引っ越ししました)。パスツール研究所のStudioは時期によっては混みますので、早めに申し込みをしたほうが良いと思います。パスツール研究所のStudioも含めてパリの多くのStudioは家具、食器付きですので、引っ越しは楽です。

 滞在許可証取得は、一般的には非常に手間であったりすると聞きますが、パスツール研究所で働いている場合、事務的なことは全て肩代わりしてくれるので、非常に助かります。健康診断を受けに行って、警察署で許可証を受け取れば終わりという感じでした。しかし私の場合、滞在許可証取得後に引っ越ししたため、許可証の住所変更をしに近所の警察署に行ったのでしたが、このときは言葉が通 じないし、いろいろ大変で、結局3回も警察署に行くはめになりました(最後は同僚に一緒について来てもらいました)。ちなみに妻の滞在許可証は夫に付随する資格を与えられるため労働許可がついています。

  銀行口座開設は日本人行員がいる“Credit Lyonnais”で開設したので特に問題はありませんでした。また、電話、インターネットなどの開設は同僚に助けてもらいました。その他にもいろいろ大変なことがあったりしたわけですが、その度に同僚達が助けてくれたので、非常に感謝しています。

 パリに来る前は言葉や生活習慣などで不安が多かったのですが、パリは観光都市ということもあってか、英語が結構通 じますし(若い世代の人達はわりと英語が話せます)、親切な人も多いです。仕事は日本で使っていた試薬や機器やシステム等が異なり、最初はかなり苦労しましたが、ちょっとずつ慣れていき、結果 が出てくると落ち着いてきました。最初に言ったように、苦労することは多々ありますが、その反面 、楽しいこともたくさんあるので(何せパリですから!)、公私ともに充実しており、やはり来て良かったと思っています。