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(フランスにおける研究者VISA取得について)
(2016.4.12)
前回に引き続き、パスツール研究所の酒井大史様から投稿をいただきました。 今回は、フランスにおける研究者VISA取得の大変さについて書いていただいております。
NPO日本パスツール協会HPの「留学便り」を読んでいただければ、フランスの事務手続きがいかに複雑で、理不尽で、しかも遅々として進まないということがよくわかるかと思います。住居、保険、銀行口座、引っ越し、結婚、出産など、ライフステージによってこなさなければいけない書類仕事は様々ですが、今回はその中で最も重要かつ最も大変であったVISAに関してお伝えしたいと思います。
フランスで研究者として働くには、その名の通り、研究者ビザ《SCIENTIFIQUE-CHERCHEUR》が必要になります。このVISAを得るためには、コンバンション・ダキュイConvention d’accueilという受け入れ証明書を、フランスの県庁(Préfecture)からもらう必要があります。さらに、このコンバンション・ダキュイを得るには、受け入れ先の研究所との契約書が必要です。この契約書は、受け入れ先の研究所/機関によって様々でしょうが、パスツール研究所との契約は困難を極めました。
日本(フランスあるいは欧州外)の外部資金を獲得して、パスツール研究所のポスドクとして働く場合には、なぜか、日本の所属が必要です。つまり、書類上は、パスツール研究所、日本の所属機関、そして自分自身の3者の間で契約を交わす、という形になるのです。私の場合は、大学院時代の所属機関に頼んで、籍を残してくれるように交渉したのですが、機関の規定により、そういったポジションを得ることはできませんでした。その後、友人の助けを借りて、なんとか日本のポジションを得ることができ、無事に契約を結ぶことができました。
今から振り返ってみると、私はかなり幸運なケースであったのだと感じます。こちらに来てから、同様の悩みを多くの研究者から聞き、せっかく渡仏したにもかかわらず、一時帰国しなければならないだとか、あるいは、そもそもポスドク先を変える、という方もいるようです。
フランスでポスドクを検討している方は、ぜひ、時間に余裕を持って契約を進めてもらいたいと思います。日本での事務手続きに比べて、数倍以上の時間がかかるのは間違いないですし、こちらが書類を揃えても、後からあれがないこれがないと言われ、ひどい時には無くしたからもう一度送れ、などと言われることもあるようです。
酒井 大史 (写真:オフィスと、オフィスからの眺めの写真)