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パリに来てから早3カ月が過ぎました。ここパリでは10月に入り、雲ひとつない晴天の日もあれば、冬のように寒い日もあり、気候の変動が非常に激しいです。
<パリでの生活>
パリでの生活ではまだほとんどフランス語を話すことがなく、スーパーマーケットやお店に買い物に行って、店員と挨拶をする程度です。もう少しフランス語を勉強したら店員とも会話が楽しめるかなと思っているところです。その一方で、パスツール研究所周辺のスーパーマーケットではあまり英語が通じません。こちらが英語で話していても全く英語を話そうとはしません。また英語で話しかけるといい顔をされないこともあります。逆に観光客がよく行く場所では英語が通じます。どうしても困ったときは、ラボの方々と一緒に買い物に行って頂いて乗り越えています。
パスツール研究所の近くには日本のお店もあり、値段は決して安くはありませんが、日本の食品が購入できるということもあり、重宝しています。また日本語を話せる店員もいます。研究所に近いモンパルナス周辺では、多くの日本料理屋が出店しています。こちらも日本人のスタッフがいるので助けになります。またオペラ周辺にも多くの日本料理屋が出店しています。
パリ市内ということもあって交通の便も非常にいいです。パリ市内であればどこに行くにしてもメトロを使えばすぐに行けますので、いろいろな場所に行ってパリを満喫するのがお薦めです。私はまだ使用していませんが、バスも便利で気軽に使える公共機関の様です。
<書類などについて>
フランスに着いて一番大変だったことは、書類に関する問題を解決することです。VISAに関してや、CNOUS/CROUSに行って様々な書類を提出したりと、到着してすぐは、ほとんど書類作業がメインになりました。私の場合、VISAに関することはパスツール研究所が助けて下さいました。しかし、やり取りは全てフランス語のため、研究室の秘書の方にさらにご協力頂くかたちになり、本当に助かりました。また到着した次の月が8月ということもあり、みなバカンスになるため、早めに解決しなければならないということも問題でした。こちらに先に来ていた日本人の方々に伺うと、自力で書類の問題を解決した方もいらっしゃるようでした。CNOUS/CROUSは、今回の給費の半分を出資していただけるフランス政府の機関で、何度か足を運びました。こちらは英語も通じるので安心できましたが、予約が必要です。予約をしないでいくと、結局予約だけで終わりということになります。CNOUS/CROUSは語学学校や学会のための費用、家賃など、書類を提出すれば、肩代わりしてもらえる非常に心強い機関で、有効に活用するとよいと思います。
<住居>
住居に関して現在私は、パスツール研究所の寮に住んでおり、その後はシテ国際学生都市の日本館に住む予定です。寮は6カ月のみで、空きがあれば延長できるようですが、空きがない場合ももちろんあるので早めに次の住居を探したほうが賢明だと思います。パスツール研究所の寮は、研究所と非常に近いので便利です。寮には、すでに鍋や電子レンジ、冷蔵庫等があるのですぐに料理をすることもできます。またテレビもインターネッ トもあります。テレビはフランス語のみで英語に変換することができないので、ここでもフランス語がわからないとややストレスを感じてしまうかもしれません。
研究室のボスがいくつかアパートの部屋を持っている場合もあります。私のボスはアパートの部屋を持っていて、そのうちの一つを学生に貸しています。
シテ国際大学都市は、主に留学生のための学生寮です。約30カ国の寮があり、5000人以上の学生や研究者が住んでいます。パリ国際大学都市は、居住施設だけでなく、郵便局、学食など生活に必要な施設はほぼすべてそろっていて、勉学に集中できる環境が整っています。さらには施設内に図書館もあり、何かを調べたいときや本をゆっくり読みたいときにも利用できるようです。また、理系、文系を問わず、様々な分野の方々が居住しているため、理系以外の方々と話す機会もあるでしょう。そういったコミュニケーションは、研究生活だけでは習得できない幅広い知識を身につけることができ、新たな知識が研究につながるかもしれません。さらにそれぞれの館ではパーティーやコンサート、自国の伝統文化を披露するなど芸術面でも力を入れており、国際交流を促し、他国の文化を知ることができます。
住居を探すのは、多少の苦労があるかもしれませんが、パスツール研究所に先に来ている日本人の方々や研究室の方々に相談したり、CROUS/CNOUSも住居を紹介して頂けるようなので話を聞くことをお薦めします。
<パスツール研究所での生活および研究>
日本では、AIDS(Acquired immunodeficiency syndrome) の原因ウイルスであるHIV(Human immunodeficiency virus)について研究を行なっていましたが、パスツール研究所では狂牛病や神経変性疾患を引き起こすプリオンタンパク質についての研究を行なっています。まったくの畑違いの分野ですが、今回の給費期間は10カ月という短期間であり、だからこそ全く異なる分野を研究することで、研究の視野を広げたいということ、また私がこれまで培ってきた研究が世界にどこまで通用するか、研究に対する姿勢、研究へのアプローチの仕方などを別の角度から見ておきたかったからです。
私の研究室ではフランス語が母国語以外の方々が多数いるので基本的に研究室内では英語で話しています。そのため言語で困ることは研究室内ではほとんどありません。多国籍で構成されているラボも多い一方、フランス語しか使用しないラボもあり、フランス語ができないと実験に支障が出てくるかもしれません。
研究所内には大きな食堂があり、肉や魚、ピザなど、またフルーツもたくさんあり、様々な食事を選ぶことができます。値段も非常に安く、日本では考えられないようなボリュームです。お昼はそこでラボの方々と過ごしています。
最後になりましたが、日本パスツール協会とフランス政府、そして支えてくれた家族に心より御礼申し上げます。