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秋の香りが漂い始める10月1日、フランス政府および日本パスツール協会から支援していただいてパスツール研究所で研究に勤しむべくパリに降り立ちました。この留学便りでは、こちらでの生活や諸手続きに関して報告したいと思います。
まずこちらで最初に待ち受けていたのはビザのトラブルでした。研究者ビザで渡航しなければならないところを学生ビザで来てしまったので、パスツールで働く上で問題があったのですが、在日フランス大使館の方のご協力も得ながらなんとかこちらで仕事を始める事ができました。私のいる研究室は自分の事は自分で行うというスタンスで、色々なトラブルに見舞われても自分で解決しなければならず、言葉も分からない中システムが異なるパスツールで大変苦労しました。他の研究室の方は秘書や同僚が助けてくれたらしいのですが、私の場合は研究に関しては勿論の事、銀行口座の開設などの私生活に関する事なども片言のフランス語でやり取りしたりと到着してすぐは色々と大変でしたが、今は何とかやってると思います。
こちらにきて、どこの国でもやっていける自信がつきました。パスツール研究所で働いていると、様々な事が優遇されたりします。例えば銀行口座の開設などはとても審査が厳しいのですが、他の大学や研究所で働いている人に比べ比較的容易に開設できたりします。またアパートに関してもオーナーからは他の外国人よりも好印象のようです。こちらで生活する上で重要な滞在許可証ですが、待っていれば警察署に行くようにと連絡が来て、行けば簡単な健康診断の後すぐに発行されました。それまでの手続きもEGIDEとパスツール研究所が代行してくれたので、非常に助かりました。また社会保障に関して、フランスの医療システムは日本とは全く異なり、予約しないと見てもらえません。また検査と診断は分離されていて、病院に行ったからと行ってそこで検査をしてもらえる訳ではなく、まず問診から始まります。もし検査が必要な場合は、後日検査専門の病院に行く事になります。病気とは予告なしに訪れるものなので、このシステムに慣れないと大変ですが、日本人のお医者さんもパリにはいるので心強い限りです。また、フランス政府が社会保険料を負担してくれるので、大変ありがたいです。
次に重要なのが住む所だと思いますが、パスツール研究所は近くにStudioを持っており、今までの留学便りでもあったように、まずそこに住みながら次の部屋を探すのがいいと思います。駅にも近く家賃も良心的で、何よりも研究所に近いのが魅力的です。最長6ヶ月間住む事が可能ですが、空きがあれば延長する事もできるようです。パリで部屋を探すのはとても大変で、まずフランス語が問題なく話せないと最初のコンタクトの前に門前払いされてしまいます。パリ市内にはCite Universiteというところに各国のハウスがあり、保証人なく外国人に部屋を貸しているので、そこに住むのも手だと思います。しかし、Cite Universiteも時期によっては混雑し入居不可能なこともあるので、早めに連絡をとるのがいいと思います。料金はキッチン共同で500ユーロ程度ですが、通 常のアパルトマンのような部屋もあり、そのような部屋は700〜800ユーロ程度します。
研究室に関してですが、私の研究室はボスがアメリカ人で研究員も国際色豊かです。そのせいもあって、研究室ではフランス語を使う機会が少なく英語が主要言語です。なので、なかなかフランス語が上達しませんが、一旦研究所を出ると、予想より英語が通 じないという事を実感します。フランス語で話しかけると好意的に接してくれる場合でも、英語だと良い顔をされない事もあるので、やはりフランス語能力は必須だと思います。研究機器は日本と同様に充実しており、またプラットホームでは専門部署が設けられていたりと、研究を進める上で便宜が図られており全く問題ありません。食事に関して、パスツール研究所の食堂は日本の学食では考えられないような豪華なメニューで、しかもローテーションを感じさせない工夫もされており値段も非常に手頃です。またフランス人にとってデザートは必須なようで、私もこちらに来て毎日ケーキを食べる習慣がついてしまいました。日本にいる時は、学食で夕食を済ませその後も実験をしていたのですが、こちらに来てからは日中集中して仕事をして夜8時くらいに帰宅するという生活を送っています。また、こちらの人は、バケーションを長く取り余暇も充実しているように思います。私には、やるときは集中し休むときは休むというこちらの生活スタイルが合っているので、充実した研究生活を送ることができていると思います。
週末の余暇として、パリでは毎月第一日曜日はほとんどの美術館が無料なので、気軽に様々な美術館を訪れたりしています。研究に集中しつつもフランスで生活している事を生かして、色々な事にチャレンジできればと思っています。